2021年08月17日

借地権ってどんな権利?メリット・デメリットをわかりやすく解説

借地権とは、建物の所有を目的とした借地借家法(旧借地法を含む)に基づく借地権(地上権又は賃借権)のことをいいます。

地上権は物権、賃借権は債権であり、土地を借りた人(借地権者)が借地上の建物を売却する場合に地上権は原則、土地の所有者(借地権設定者)の許可が不要ですが、賃借権では許可が必要となります。

多くのケースで借地権として設定されているのは賃借権であることから、この記事では、土地賃借権を借地権として詳しく解説していきます。

借地権の種類

借地権は、借地権を設定した時期や特徴などに応じて大きく3種類に分けることができます。

●旧借地権

建物の所有を目的とする借地権について定めた現行法である「借地借家法」は、平成3年に成立し、平成4年から施行されています。

この借地借家法の施行以前、借地の取り扱いを定めていた法律は借地法でしたが、借地借家法施行に伴い廃止され、現在は一般的に「旧借地法」と呼ばれています。

借地法施行下で契約締結が行われた借地権は、旧借地法が現在でも適用されることから、このような借地権のことを「旧借地権」といいます。

借地上の建物の構造等により堅固建物と非堅固建物に分け、借地権の契約期間の定めがない場合の借地権の存続期間を堅固建物で60年、非堅固建物で30年とし、合意により別途契約期間を定める場合には、これより短い期間は無効となり、定めが無い場合と同様の期間となります。

更新後、借地権の存続期間も堅固建物と非堅固建物で分けられており、契約締結時に契約期間の定めがあれば同様の期間を存続期間として更新し、定めが無い場合には堅固建物で30年、非堅固建物で20年と定められています。

また、契約の更新拒絶には厳しい制約が課されているために当事者間の合意が無い限りほとんどのケースで契約が更新されることとなります。

●借地借家法に基づく普通借地権

平成4年の借地借家法の施行後、新たに創設された借地権のことを「借地借家法に基づく普通借地権」といいます。

借地法と異なる借地借家法の特徴としては、借地上の建物の構造等により借地権の存続期間を分けていないことが挙げられます。

堅固建物と非堅固建物の区別なく、借地権の契約期間の定めがない場合の期間を30年とし、合意により別途契約期間を定めることはできますが、これより短い期間の設定は無効となり、定めが無い場合と同様の期間となります。

更新後の借地権の存続期間も構造等による区別はなく、1回目の更新では期間の定めが無い場合は20年、2回目では10年と定め、当事者間の合意によって1回目20年以上、2回目10年以上の存続期間の設定もできます。

また、普通借地権も契約解除には解約することが相当と認められる事由(正当事由)が必要であり、契約解除を容易に行うことはできません。

しかし、借地契約更新後の借地上の建物の再建築については、地主の承諾が必要となっており、地主が応じない場合には解約できることになっている点が旧借地法とは異なっています。

つまり借地借家法は、借地人の保護を図りながらも、旧借地法と比較すると貸主に少し歩み寄った内容となっています。

●借地借家法に基づく定期借地権

旧借地権、借地借家法に基づく普通借地権は、借地期間が長期にわたります。

このため土地の所有者が借地権を設定することを敬遠することも多く、土地の有効利用を阻害する要因にもなっていました。

そこで借地借家法では、普通借地権のほかに契約で定めた期間が満了すると借地権が消滅し土地が貸主に返還される定期借地権を定めています。

定期借地権には、一般的借地権、建物譲渡特約付借地権、事業用定期借地権があり、おおまかな特徴は次のとおりです。

・一般定期借地権
借地権の契約期間を50年以上で定め、契約終了時に借地人は借地上の建物を解体撤去し、更地にして借地権設定者に土地を返還します。

なお、借地上の建物の用途に制限はありません。

・建物譲渡特約付借地権
借地権の存続期間を30年以上で定め、契約期間満了時に借地権設定者は地主に対して借地上の建物の買い取りを請求することができ、当該買い取りによって借地権は更新されずに終了します。

・事業用定期借地権
借地権の存続期間を10年以上50年未満で定め、契約期間満了時には借地人は借地上の建物を解体撤去し、更地にして借地権設定者に土地を返還します。

なお、借地上の建物の用途は事業用に限定されます。

住居を建てるために定期借地権を利用する場合には、一般定期借地権、建物譲渡特約付借地権のいずれを用いるかは借地権者、借地権設定者双方にとって重要なためプランにあった検討が必要です。

借地権付き不動産のメリット

普通借地権や定期借地権など、土地に対する権利がついた一戸建てやマンションが売買物件として市場に流通することがあります。

ここでは、このような借地権付き不動産のメリットについて解説します。

●土地の固定資産税を支払わずに済む

土地や建物などの不動産は固定資産に該当するため、固定資産税及び都市計画区域内に存する場合には都市計画税などの税金(固定資産税等)を納めなければなりません。

固定資産税等は、固定資産の所有者が納税義務を負うため、土地の所有者ではない借地人は土地の固定資産税等を支払わずに済みます。

ただし、借地人が所有する借地上の建物にも固定資産税等が課税されるため、当該建物の固定資産税等は負担しなければならないことに注意が必要です。

●初期費用を抑えられる

一般的に一戸建てやマンションの価格は、土地と建物の合計金額です。

しかし、借地権付き不動産であれば、地代の支払いは必要になりますが、売買代金は建物の代金だけとなるため初期費用が少なくなります。

借地権の設定に対する一時金や借地権を購入するケースもありますが、それでも土地を購入することにくらべれば代金は安くなります。

また、土地を購入した場合には不動産取得税という税金が課税されますが、借地権であれば当該税金も発生しないため、少しでも費用を抑えて住宅を購入したい方におすすめです。

借地権付き不動産のデメリット

上記のようなメリットが認められる借地権付き不動産ですが、当然デメリットもあります。

ここでは借地権付き不動産のデメリットについて解説します。

●地代が発生する

借地人は土地を使用する対価として土地使用料いわゆる地代を地主に支払う必要があります。

借地権設定契約の内容によっても異なりますが、原則、借地契約が存続する限り地代を支払わなければなりません。

また、固定資産税、都市計画税の金額との兼ね合いを考慮した上で地代が適正であるかどうか、高額な地代になっていないかということも考えなければいけません。

このほか、地域や慣行などにより、授受の有無、金額が異なりますが、契約更新の際に更新料の支払いが必要になる場合もあります。

更新料は借地権価格の5~10%が相場とも言われ、決して安い金額ではありません。

借地権価格の目安は、借地面積に国税庁の相続税路線価図に記載された路線価と借地権割合を乗ずることで求めることができるので事前に確認しておきましょう。

●増改築の際に地主の承諾が必要になる

長く住み続けているとライフスタイルの変化などにより、住居を増改築する必要性が生じることがあります。

しかし、借地権付き不動産の場合には、借地契約で増改築禁止特約などがあり、地主の承諾が無ければ自由に増改築することはできないケースが多くあります。

また、地主の承諾を得るに当たり承諾料が必要になるケースがあり、承諾料は更地価格の3~5%が相場といわれますが、契約期間、残存期間、増改築の規模など個別の事情によって異なります。

一方で大幅な変更が生じないリフォームやリノベーションでは基本的に地主の承諾を得る必要はありませんが、増改築との線引きが曖昧であるため工事内容等を事前に地主へ伝えておくことがトラブルの回避に有効です。

●住宅ローンの審査に通りにくい

土地賃借権は登記されるケースが殆どなく、物権である所有権や地上権と比較して権利が弱く、売買に際して地主の承諾が必要という理由から担保価値が低くなり、住宅ローンなど金融機関から融資を受ける際に不利な扱いになることがあります。

住宅ローンの審査が通らない場合には、金利の高い他のローンを利用、自己資金を充てるなどの別方法での資金調達が必要になります。

住宅ローンの利用を検討している購入者にとって担保価値が低くなるのは大きな問題であるため、借地権付き不動産の売却が難しいと言われる要因のひとつになっています。

●第三者への売却が容易ではない

担保価値が低くなり住宅ローンの審査が不利になることのほかに、地代を払い続けなければならないこと、建物の増改築に承諾料、借地契約の更新に更新料などを支払う必要があることなどランニングコストが大きいというデメリットから借地権付き不動産は売買市場で敬遠されがちです。

また、売主である借地人は借地権付き不動産の売却に際して不動産会社に支払う手数料のほか、借地権売却の許可を地主から得る際に借地権の譲渡承諾料が必要になるケースがあります。

借地権付き不動産の売却では購入希望者を探すのにも時間が掛かり、容易には売却はできないと思ったほうが良いでしょう。

しかし、売却代金で新しい物件の購入資金に充てたいなどの理由から売却困難な不動産であっても出来る限り早く現金化したいというニーズがありましたら、買取業者に相談するという方法があります。

他社では対応しにくい物件にも対応可能な「ソクガイ https://sokugai.jp/」では、こういった相談に対応可能です。

お困りごとがあれば、ぜひご相談ください。

借地権付き不動産の売却に当たって

借地権は他人の土地を利用する権利であるため、法律の理解が必要であるとともに地主との関係にも気を遣わなければならず、敬遠されがちな物件になりやすいといえるでしょう。

しかし、借地権を活用した物件では、土地価格が高くて予算的に諦めざるを得なかったようなエリア、立地に存する一戸建てやマンションに住むことができる可能性が高くなるというメリットもあります。

借地権付き不動産を上手に売却するためにも、メリットとデメリットを把握した上で賢い売却方法を検討していきましょう。

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